#0075 韓国また財閥崩壊!斗山グループ重工業以外全部売却!
斗山グループの危機は2008年のサブプライムローン問題を発端としていると言われています。
それ以降に斗山建設が建設したマンションが大量に売れ残り、毎年大幅な赤字を記録し続けたそうです。
(参考)朝鮮ビズ 2016/08/11
出血大サービスを行ったにも関わらず、一部では売れ残り率80%を記録して韓国ギネスブックに掲載されたとも報じられています。
斗山建設は2011年以降、巨額の赤字を出し続け、一度も黒字を記録できないまま上場廃止。
斗山グループはこの不良企業を売却せず、グループ内で何とか救済しようとしますが大失敗に終わり、グループの収益を次々と食い尽くしてしまいます。
資金獲得のために主要事業の売却、資産売却を繰り返しながらさらに失敗を重ねていきます。
2015年には起死回生とばかりに免税店事業権を獲得しますが、結果的には失敗して2019年に返却。
2001年に安価で買収した重工業が現在はグループを牽引していますが、脱原発脱炭素の波にのまれて突然巨額損失を計上。
これが今回のグループ崩壊危機の新たな火種となっているわけです。
いわゆる文在寅ショックです。
2月には従業員2600人を名誉退職させると発表し、3月には会社休業を検討するとまで報じられました。
(参考)MK 2020/03/11
4月に入って本格的な構造調整の検討に入り、産業銀行と輸出入銀行は2.3兆ウォンの融資を決定。
6月の補正予算では更に追加で1.3兆ウォン。合わせて3.6兆ウォンが投入されたことになります。
しかし不良企業斗山建設は買い手がつかず、ついには中核である斗山インフラコアまで売却するとしています。
しかし専門家は斗山インフラコアの借入金が営業利益予想の10倍以上の2兆9000億ウォンである点を指摘し、短期的な売却は成立しないだろうという見方を示しています。
編集所感
一部を除いて牽引力や支配力は低下していて、これが韓国経済の成長動力の喪失にも関わっています。
斗山グループは韓国で最も古い企業とされています。元々は飲料など消費財を扱う企業だったようですが、
1991年の有害物質流出事件を機に消費財関連会社を売却。
2001年に国営化されていた韓国重工業を安価で買収して以降はグループの主力産業となったようです。
斗山という名前を聞いてもピンと来ない人が多いかと思いますが、斗山インフラコアはエンジンメーカーとしてそこそこ有名です。
ネットでは韓国の自称国産戦車K-2黒豹の不良エンジンを製造して国産化に成功したと言い張っていることから知られているかと思います。
あとは最近の脱原発で最も大きな煽りを食った企業でもあります。
グループの経営危機は今に始まった問題ではありませんが、文在寅大統領の脱原発によってトドメを刺されたという見方もされています。
不幸なことに、脱炭素という時代の流れによって石炭火力発電も同時に下火になったことも大きな影響を受けています。
とはいってもタービンの性能はそれほど良くないから新型の石炭火力発電所には日本から特殊な製品を輸入していたと記憶していますが・・・。
ともかくとして、建設会社はマンション建設に特化して大失敗し、重工業も石炭と原子力に注力して今や先行き不透明な状況です。
経営の柱が同時に折られてしまったのは仕方ありませんが、グループ崩壊の本質は不良企業斗山建設を早々に見切れなかったことが問題です。
財閥に限らず巨大グループ企業にありがちなのが、一部事業の赤字を他の好調な事業の黒字で穴埋めするというパターン。
通常はこうした一時的な資金援助を受けて回復していくわけですが、一定以上腐った企業はもうどうしようもないですね。
グループ内の甘い体制に浸り続けて腐食を進行させていく前に、公衆の面前にさらすように売却し、体質を外部によって改善してもらうしかないでしょう。
もはや内部では正しく評価できないわけですから。
だって兄貴が社長だとかおじさんが社長だからという感じですよ。一人に責任を取らせてバッサリ切るなんてできないわけです。
そうやって本質的に腐ってグループの利益を食い尽くしたのが今回の斗山建設で、2010年代の早い時期に整理できていたらどれほど良かったか。
これもまた、長年グループを経営してきて何度も危機を乗り越えてきたという成功体験が決断を鈍らせたのでしょう。
財閥家族の見栄のために、最終的には韓国経済を毀損して国税のお世話になるという。
ただ、こうした経営者の失敗によって招かれた危機のために、巨額の債権を抱える各企業と多くの従業員を守るためとして大量の国税が投入されるのはいかがなものでしょうか。
経営者一族達はどれほどの責任を感じているんでしょうかね。
可能な限りグループから引き剥がして外部経営者に任せ、一族を衰退させることが経営正常化への一歩とも言えるのでしょう。
ところで文在寅大統領も財閥改革を叫んで大統領に当選しましたが、一向に何もやっていませんね。
一時期張り切っていましたが、あっという間に頓挫して、今や改革という言葉すら聞こえてきませんけど、どうなってるんでしょうか。
まさかこうした結果をもってして、財閥を解体し、改革に成功したとか言い始めたりしないですよね?
さすがに石が飛んでくると思います。
財閥崩壊で韓国経済は小さくなるかもしれませんが、その結果として身の丈に合ったよりクリーンな経済へと変貌していくんじゃないでしょうかね。
本当に誰がしたわけでもなく、自然の流れでそうなりつつあるようです。
でも政治の力で加速させてくださいよ。