#0089 韓国が香港を無視する理由。韓国国家保安法の存在
中国共産党体制を批判したり、独立を意味するものを持っていたり身に付けているだけでも逮捕されるほどの不自由さです。
韓国政府はこれに対して明確な態度を示していません。
昨年末に行われた日中韓三カ国首脳会談でも、人権派弁護士出身である文在寅大統領はこれについて明確な姿勢を示していません。
それどころか中国新華社通信など中国国営メディアは文在寅大統領が
「韓国は香港でも新疆に関連した問題でも全部中国の内政だと認識すると話した」と報じて波紋を呼びました。
文在寅大統領が香港や新疆ウイグルの人権問題を問題視していないような印象を与えました。
この報道を受けて韓国政府は大統領府は
「香港と新疆問題に対して習近平中国国家主席が”この問題は中国の内政問題”と説明し、文在寅大統領は習主席の話をよく聞いたという趣旨の発言をしただけ」と釈明しました。
(参考)中央日報 2019/12/29
外交部がこれに対して訂正を要求しましたが、中国側の反応は伝えられていません。
憂慮や懸念を表明した安倍首相との違いが鮮明となりました。
駐韓中国大使館関係者は「香港国家安全法の内容を韓国外交部と共有した」「香港国家安全法の必要性を説明した」と話しています。
(参考)朝鮮日報 2020/05/20
駐韓中国大使は24日、中国国営CCTVのインタビューで「中韓は友好的な近隣諸国として核心問題に対するお互いの立場を尊重してきた。香港問題も例外でない」
「韓国側の理解と支持を得ると信じる」などと話しましたが、韓国政府関係者は「中国の立場について十分に共有を受けたが。支持の有無を明らかにしてはいない」と話しています。
編集所感
世界の人権問題よりも韓国の国益を優先するということですが、これまでの姿勢との違いに疑問の声が少なからず上がっています。
とはいっても反政府の保守派からであって、同じく人権の重要性を説く左派のメディアは淡々と報じるだけですね。
その背景として、韓国社会自体が香港国家安全法を問題視していないからではないかと思います。
韓国にもそれと同様の国家保安法というものが存在します。
(参考)韓国法制処 国家保安法
この内容が今回の香港国家安全法と酷似している、あるいはそれよりも厳しいとして韓国ネットでも少し話題となっているようです。
もちろん韓国の場合は北朝鮮という特殊な存在があって、軍事的にも思想的にも対立していたので同様に見ることはできません。
ただ、日本で戦時中の悪法とされた治安維持法を基にしていて、条項や条文もほぼそのままコピーした状態で始まったとされています。
(参考)Wikipedia 国家保安法
当初は軍事独裁政権維持のためという意味合いも強いようで、一度は全面改正され、その後も廃止議論が起きています。
文在寅政権でもこれを廃止しようとしたようですが、憲法裁判所で合憲判断が出て頓挫しているようですね。
香港国家安全法では反国家行為を行った場合。
例えば香港を独立させようとした場合ですね。最大で無期懲役ですが、韓国国家保安法の場合は死刑のようです。
韓国の場合は国家分裂や体制転覆の団体を構成しただけで死刑です。厳しいですね。
韓国では左派が強い地域、全羅道を右派の人たちが全羅道共和国などと揶揄しますが、実際に独立を目指して団体を作れば最悪死刑ということです。
香港の場合は民主化運動の組織イコール体制転覆団体ですし、デモを行えばテロ行為となるかと思います。
デモでの財産被害や怪我を負わせた場合は10年以上、最大で無期懲役。
韓国の場合は最大で死刑です。
実際に最近起訴された例を見ると、北への越境未遂とか、北への密輸があるようですね。
こういうのを見ると、対北朝鮮特別法に集約して、その他に関しては別の法律で取り締まるでよいかと思いますが・・・。
破壊的なテロ組織についても別の法律を作ればと思います。
北朝鮮政権の賞賛や鼓舞。これは一時期国を挙げてやっていたので今は形骸化しているというわけですかね。
どうあれ韓国はこの法律が存在する以上、今回の香港国家安全法を批判することができないということです。
文在寅大統領が人権を守れ!と声を上げたくても、韓国でも人権を守っていない法律が今もなお存続しているわけですから、大人しくだんまりを続けるしかないようです。
こうした内部的な矛盾を抱えることとなるからというのが一点と、もう一つは単に経済重視ということです。
韓国メディアもいくつかは一国二制度の事実上崩壊と報じて中国政府を糾弾しています。
小さいところですけどね。
その他のメディアの注目は香港経由の中国への輸出がどうなるか。こればかりです。
税金対策などで本土に直接輸出せず、香港を経由しているものが多くあるそうです。半導体関連がそのようです。
これの影響はないだろうという観測ばかりですね。これが香港関連の最大の関心事のようです。
こういうのを見ると非常に寂しい気持ちになりますね。別に特段の期待をしているわけではないですが、残念な印象を受けます。
左派メディアもこういう時に再び韓国国家保安法の意義を問いただすべきだとか言えないんでしょうかね。
再び議論するいい機会だと思いますが、やはり憲法裁判所の判断は重いということなのでしょうか・・・。
国会で改正を試みるとか今ならできませんか?
あ、興味ない?他で忙しい?
ああそうですか。人権は重要度が低いようです。
お〆め
韓国の場合は時代と共に変わるべきだと思いますけど。
そして・・・
でもそれが正解かもね。多分逆戻りはしないだろうから。